腎臓専門医が「最初に読む本」を書いた理由
「クレアチニンが少し高いですね」
「尿蛋白が出ています」
健診でそう言われても、
- 症状はない
- 普通に仕事できる
- 昔からと言われている
だから、そのまま様子見。
腎臓内科外来では、こうした方を日々多く診療しています。
その時点では合理的な理由
大抵は忙しかったり、「まだ大丈夫だろう」と思っていたり、受診することで現実と向き合うことを避けていたりします。
軽くネットや本屋で調べてみると、「食事制限」「安静」「減塩」など様々な情報が出てきます。
「これから色々制限されるのではないか」と感じ、近づきたくない世界に見えてしまうこともあります。
向き合わないことで保たれる平和もあるのです。
逆パターン:極端な制限
一方で、調べすぎてしまう方もいます。
腎臓内科に受診するまでには、かかりつけ医での経過観察や紹介など、時間がかかる場合があります。
その間にインターネットや書籍で情報を集め、「とにかく制限しなければ」と考えてしまうこともあります。
中には、「食事を変えれば腎臓は良くなる」といった極端な情報にたどり着く方もいます。
もちろん生活習慣は重要です。
ただ、極端な制限によって日常生活そのものが苦しくなってしまうケースも少なくありません。
問題は透析だけではない
透析はもちろん避けたいものです。
ただ、腎臓病の問題は透析だけではありません。
腎機能低下や尿蛋白は、
- 心不全
- 脳卒中
- 骨折
などのリスクとも関係しています。
こうした病気は、要介護や寝たきりにつながることもあります。
つまり、「長く生きる」だけでなく、自分の足で生活できるかも大切なのです。
なぜ本を書いたのか
外来では、限られた時間の中で、
- 検査結果
- 病気の説明
- 薬や今後の方針
をお話しするだけで精一杯なことも少なくありません。
その背景には、食事や運動だけでなく、睡眠、禁煙、体重管理など様々な生活習慣があります。
ただ、それらを体系的に整理してお伝えするのは難しいと感じていました。
そこで、「健診で異常を指摘された人が最初に読む本」として、気軽に読める形にまとめてみようと考えました。
実際に整理した内容は、
Kindle
『健診で「腎臓が悪い」と言われたら読む本』
にまとめています。
できる限り図を多くし、フローチャートや表を使いながら、「自分が今どのあたりにいて、何を優先すべきか」が整理できることを意識しています。
また、専門用語ばかりが並ぶ医学書のような雰囲気は極力避けるようにしました。
誰向けの本か
この本は、
- 普段の生活はできている
- でも健診異常は指摘されている
- 何を優先すれば良いかわからない
そんな方を想定しています。
特に、
- クレアチニン
- eGFR
- 尿蛋白
- 血圧
- 体重や腹囲
などが気になり始めた中年層を主な対象にしています。
最後に
無理をして長生きすることではなく、普段の生活を楽しみながら、自分の足で歩ける日々を守ること。
それが、私自身が腎臓診療で大切にしたいと思っていることです。
まずは一歩、過去の健診結果を見返すところからでも考えてみてください。
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