「仕事で動いている」は運動になる?|中年で筋力低下が進む本当の理由
「営業で結構歩いている」
「立ち仕事だから運動は足りている」
「仕事終わりにはヘトヘト」
外来でも、このような話をよく聞きます。
実際、仕事で全く身体を動かしていないわけではない方も多いでしょう。
ただ一方で、
- 階段がしんどくなった
- 疲れが抜けにくい
- 休日は横になって終わる
- 昔より体型が崩れてきた
- 健診で血圧・腹囲・コレステロール・中性脂肪・eGFRを指摘される
こうした変化も、中年以降では非常によく見られます。
「仕事で疲れている」と、「身体機能を維持できている」は別です。
結論|“仕事で動く”だけでは足りない場合がある
結論から言うと、 「どの程度の強度で身体を動かしているか」 によって変わります。
単に「歩いた」「疲れた」だけでは、健康維持に必要な運動強度へ届いていない場合も少なくありません。

なぜ中年では筋力低下が進むのか
40代以降では、筋肉量や回復力は少しずつ低下していきます。
特に、
- 座っている時間が長い
- 睡眠不足
- 体重増加
- 運動不足
- 高血圧や糖尿病
などが重なると、筋力低下はさらに加速します。
そして筋力低下は、
- 転倒
- 膝痛
- 疲れやすさ
- 体重増加
- 生活習慣病悪化
につながっていきます。
「仕事で動いている」はどれくらい運動になる?
実際には、仕事内容によってかなり異なります。
| 仕事内容 | 運動強度の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| デスクワーク+少し歩く | 低い | 座位時間が長い |
| 営業・接客 | 低〜中 | 歩数は増えるが負荷は低い |
| ゴルフ | 低〜中 | 健康効果はあるが筋力維持は限定的 |
| 引っ越し・重労働 | 中〜高 | 筋力刺激になる可能性 |
| 筋トレ・速歩 | 中〜高 | 健康維持に重要 |
特に「営業で歩く」「ゴルフに行く」程度では、 “中強度運動”に届いていない 場合もあります。
健康維持で重要な「中強度運動」とは
一般的には、
「歌えないが会話はできる」
程度が中強度運動の目安とされています。
これは、
- 速歩
- 軽いジョギング
- やや息が上がる筋トレ
などが該当します。
運動強度(RPE)の考え方については、
▶︎運動強度(RPE)の目安を専門医が解説

「仕事で疲れる」と「健康に良い運動」は違う
重要なのは、 仕事終わりの疲労感 ではありません。
長時間労働や睡眠不足による疲労は、 「身体を鍛えている」のではなく、 単に消耗しているだけの場合もあります。
一方で健康維持に重要なのは、
- 適度に息が上がる
- 筋肉へ刺激が入る
- 継続できる
- 回復できる
というバランスです。
「時間がない人」はまず何をすべきか
ここまで読むと、
「でも運動する時間がない」
と思う方も多いでしょう。
ただ、運動はゼロか100かではありません。
- 座る時間を減らす
- 階段を使う
- 週2回だけ筋トレする
- 少し速く歩く
だけでも意味があります。
実際、 ▶︎運動は5分でも意味がある? でも解説した通り、 少量の運動でも健康へのメリットは報告されています。
また、 「運動しているのに体重が落ちない」 という場合は、 運動強度だけでなく食事が影響していることもあります。
▶︎腎臓を守る食事ガイド も参考になるかもしれません。
まとめ|「仕事で動く」だけで安心しない
「仕事で動いている」が十分な運動になるかどうかは、 仕事内容や強度によって大きく変わります。
重要なのは、
- 10年後も動けるか
- 疲れにくいか
- 転びにくいか
- 生活習慣病を防げるか
という視点です。
中年以降では、 「ただ疲れる」ではなく、 “身体機能を守る運動” を少しずつ意識していくことが重要なのかもしれません。

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