50代から始める「貯筋」とは?|介護を遠ざける老後の新しい備えを腎臓専門医が解説

腎臓×運動

50代から始める「貯筋」とは?
|腎臓専門医が考える介護を遠ざける老後の新しい備え

「老後資金2,000万円問題」

そんな言葉を聞くたびに、
お金の準備を意識する人は増えています。

しかし、医師として多くの高齢者を診てきて感じるのは、

老後を左右するのは、
お金だけではないということです。

いくら資産があっても、
自分の足で歩けなくなれば、
旅行も趣味も自由も失われてしまいます。

そこで大切になるのが、

『貯筋(ちょきん)』

という考え方です。

この記事では、

・なぜ50代が貯筋のラストチャンスなのか
・ウォーキングだけでは足りない理由
・介護を遠ざける筋トレの始め方

を、腎臓専門医の視点から解説します。

それではまず、
「老後の不安はお金だけではない」
という話から始めましょう。

老後の不安はお金だけではない!?

物価の上昇や社会保障への不安など、老後のお金について考える機会は増えています。

しかし、医師として多くの高齢者を診てきて感じるのは、老後の差を決めるのはお金だけではないということです。

それが「貯筋(ちょきん)」です。

中年期からしっかり運動を続けてきた人は、高齢になっても旅行を楽しみ、自分の足で買い物へ行き、好きなことを続けています。

一方で、筋力が低下すると、歩行・階段・立ち上がりなど、当たり前の動作が少しずつ難しくなっていきます。

つまり、老後を考える今こそ、お金だけでなく筋肉も積み立てる時期なのです。

老後の備え守りたいもの今からできること
貯金生活費・経済的安心積立・投資
貯筋歩く力・自立した生活筋トレ・運動習慣
老後を支えるのは「お金」と「筋肉」の両方です。

50代は「貯金」だけでなく「貯筋」を始めるべき時期です。
今の筋肉が、20年後に自分の足で歩けるかどうかを左右します。

ラストチャンス、なぜ?

筋肉量は30代頃から少しずつ減り始め、50代以降になるとその低下スピードが加速します。

この筋肉の減少を「サルコペニア」と呼びます。

今、筋肉に適切な刺激を与えておくことは、20年後・30年後に現れる老化症状を遅らせるための先行投資になります。

将来の転倒や介護を防ぐ最大の武器が、実は中年期の筋トレなのです。

散歩だけでは足りない?

多くの人が行う軽いウォーキングだけでは老化に抗うだけの貯筋には不十分です。

筋肉の質をかえ、健康寿命を伸ばすには漸進的レジスタンストレーニング(頻度・時間・量・強度を慣れに合わせて増やしていくこと)が不可欠と言われています。

  • ウォーキング → 心肺機能には有効
  • 筋トレ → 筋肉量・筋力の維持に有効
  • 両方を組み合わせることが理想

貯筋の黄金ルール

10回やった段階で、あと2〜3回は正しいフォームでできる余力を目指します(RPE:自覚的運動強度における7〜8)。

限界まで追い込む必要はなく、初心者はRPE5〜6を目指します。RPEや初心者の運動負荷の考え方についてはこちらをご覧ください。▶︎初心者向けのRPEの話

10回できた時点で、あと2〜3回できる余力を残す。
これが「貯筋」の基本です。

  • 初心者:RPE5〜6
  • 慣れてきたら:RPE7〜8
  • 毎回限界まで追い込む必要はない

活動的かつ安全に

  • 健康上の利益がリスクを上回ると自信を持って取り組む
  • 適切な負荷・種類の運動を
  • 段階的に増やしましょう
  • 適切な場所や器具を使いましょう
  • 慢性疾患がある場合は相談を

上の5項目を心に留めておきましょう。

運動を始めるにあたって特に配慮が必要な人や症状についてはこちらをご覧ください。 ▶︎ 運動を始めて良い状態・避けるべき状態

 

貯筋は”天然の薬”を分泌する

筋肉は体内の最大の代謝器官であり、運動によって抗炎症作用脳保護作用を持つ物質を分泌するとされています。

心血管疾患、2型糖尿病、がん、認知症のリスクを下げることも示されています。

腎臓専門医としても、腎臓病の進行抑制のために外来ではレジスタンストレーニングを薦めています。

筋肉が守るもの 期待できる効果
血糖 糖尿病予防
血圧 心血管病予防
認知症リスク低下
炎症 老化抑制
腎臓 腎臓病進行抑制

 

 

まとめ

  • 老後を支えるのは「貯金」と「貯筋」
  • 50代は貯筋効率が高い重要な時期
  • 散歩だけでは筋力維持に不十分なことがある
  • 筋トレは未来の自分への投資
  • まずは自重スクワットから始めてみよう

20年後の自分から感謝される投資を、今日から始めてみませんか。

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