【専門医が解説】腎臓を守ろう〜腎臓に良い食事とは?〜

【専門医が解説】腎臓を守ろう〜腎臓に良い食事とは?〜 腎臓×健康×運動

はじめに

慢性腎臓病(CKD)は日本人の10人に1人が抱える国民病です。
腎臓の健康を守るために、そしてCKDを予防するために最も大切なのが「食事」です。

CKDの基礎知識はこちら
➡️ 「【専門医が解説】腎臓を守ろう〜腎臓病とは〜」

この記事では、腎臓を守るための食事法を専門医の目線でわかりやすくまとめました。


植物性食品を増やそう

● 腎臓に優しい食事の基本方針

  • 動物性食品より植物性食品を多くする
  • 超加工食品を減らす

植物性食品には、穀物・芋・野菜・豆・ナッツ・果物・きのこ・海藻などが含まれます。豆腐・味噌・大豆ミートなども植物性食品に分類されます。

● 推奨される食事パターン

DASH食や地中海食は、腎臓にも心血管にも良いエビデンスのある食事パターンです。

DASH食と地中海食の例

  • DASH食:野菜・果物・全粒穀物・低脂肪乳製品が豊富
  • 地中海食:野菜、果物、ナッツ、豆、魚を中心

実際に、地中海食は低脂肪食より腎機能低下の進行が緩やかというRCTも存在します。


超加工食品がCKDに与える影響

腎臓を守るためには「何を食べるか」だけでなく「何を避けるか」も大切です。特に近年注目されているのが、NOVA分類の超加工食品(グループ4)です。

NOVA分類の食材例

● 超加工食品の例

  • スナック菓子
  • 加糖飲料
  • カップ麺・インスタント食品
  • 冷凍食品
  • ファストフード

● 超加工食品が腎臓に悪い理由

  • 無機リン…吸収率90%と高い
  • 食塩が多い
  • 添加物由来のカリウム塩が多い
  • AGEs(終末糖化産物)が増える

これらがCKD発症や進行と関連している可能性が報告されています。


塩分:全員が厳しい制限をすべき?

KDIGOガイドラインでは食塩5g/日未満を推奨していますが、全員が厳しい制限をするべきではありません。

● 制限が必要なケース

  • 高血圧がある
  • 心不全や浮腫を合併
  • ACE阻害薬 / ARB を使用する場合

● 制限が不要・注意が必要なケース

  • 食事量が少ない高齢者
  • 暑熱環境で汗を大量にかく人
  • 小児
  • 塩類喪失性疾患(salt wasting)がある人

日本人の平均摂取量は9~10g/日と多めであるため、多くの人が「適塩」を目指す必要があります。


カリウム:野菜や果物は避けるべき?

腎臓が悪いと「カリウム制限」と思われがちですが、軽度~中等度のCKD(eGFR 45–90)では過度な制限は不要とされています。

● 野菜・果物はむしろ腎保護的

野菜や果物の摂取量が多いほど、死亡率や末期腎不全への進行が抑えられる可能性があります。

● 制限が必要なケース

  • eGFR < 60
  • 高カリウム血症の既往
  • 加工食品に含まれる添加物由来のカリウム塩の大量摂取

自然食品のカリウムは吸収率が低く、加工食品のカリウム塩(添加物)は吸収率90%と非常に高い点に注意が必要です。


たんぱく質:制限が必要な人・不要な人

ガイドラインでは、腎機能に応じてたんぱく質摂取量を以下のように調整するとされています。

● 推奨される摂取量

  • eGFR ≥ 60:高たんぱく食(1.3g/kg以上)は避ける
  • eGFR < 60:0.8g/kg/日を目安

例:体重60kg → たんぱく質 48g/日

● たんぱく質が不足しやすいケース

  • サルコペニア
  • 低栄養
  • 悪液質
  • 小児

制限しすぎると低栄養を招くため、カロリーを確保しながら調整することが重要です。

●たんぱく質の含有量の考え方

たんぱく質量の概算

上の表をイメージしながら、食材の重さを参考に1日のたんぱく量を計算してみてください。一度型にハマった食事とその栄養素を計算していると、日々の細かい計算は行わなくても概算で良いと思います。


まとめ

  • 植物性食品を中心にする
  • 超加工食品をできるだけ避ける
  • 塩分・カリウム・たんぱく質は「個別の状況」で調整する
  • 特に加工食品の無機リン・カリウム塩は注意
  • 管理栄養士の介入は腎保護に有用

次回予告

次回は腎臓を守る運動、喫煙の影響についてそれぞれまとめてみようと思います。


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出典

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