健康診断で「尿潜血±」「尿潜血+」と言われると、
「血尿ということ?」「腎臓病では?」「がんの可能性は?」と不安になるかもしれません。
ただし、尿潜血が一度陽性だっただけで、腎臓や尿路の病気があると決まるわけではありません。
月経や激しい運動、発熱、尿路感染などの影響で、一時的に陽性になることもあります。
一方、条件を整えて再検査しても尿潜血が続く場合には、
尿沈渣で実際に赤血球が増えているかを確認し、
尿蛋白や腎機能なども合わせて原因を考えていきます。
尿潜血は何を調べている検査?
尿潜血は、尿試験紙を使って
尿中のヘモグロビンなどのヘム成分に反応するか
を調べるスクリーニング検査です。
そのため、
「尿潜血陽性=尿中に赤血球が確実に増えている」わけではありません。
試験紙で陽性になった場合には、必要に応じて尿沈渣で実際の赤血球を確認します。
| 検査 | 何を確認する? | 主な役割 |
|---|---|---|
| 尿潜血 | 試験紙でヘム成分への反応をみる | スクリーニング |
| 尿沈渣 | 赤血球や円柱などを顕微鏡で確認する | 血尿の確認・原因の推定 |
血尿診断ガイドライン2023では、
顕微鏡的血尿は尿沈渣で赤血球5個/HPF以上などを基準として定義されています。
尿潜血±は「血尿」なの?
尿潜血±は、試験紙でごく弱い反応が出た状態です。
これだけで「血尿がある」と確定することはできません。
一方、日本人間ドック・予防医療学会では、
尿潜血±や+は再検査の対象として扱われています。
したがって、
「±だから異常なし」と放置するより、条件を整えて一度確認する
という考え方が実用的です。
再検査でも±が続く場合には、
試験紙の反応だけを追い続けるのではなく、
尿沈渣で実際に赤血球が増えているか
を確認します。
尿沈渣で赤血球が1~4個/HPFであれば、
顕微鏡的血尿の定義には該当しません。
尿蛋白や腎機能低下など、ほかの異常がなければ経過をみることがあります。
一度陽性でも病気とは限らない
尿潜血は、腎臓や尿路に明らかな病気がなくても
一時的に陽性になることがあります。
特に確認しておきたいのは次のような状況です。
- 月経中やその前後
- 激しい運動の後
- 発熱していた
- 尿路感染があった
- 外傷があった
- 泌尿器科的な処置を受けた直後
こうした条件が重なっていた場合には、
まず条件を整えて再検査するのが基本です。
尿潜血を再検査するときの注意点
再検査では、できるだけ検査結果に影響する条件を減らします。
| 注意すること | 理由 |
|---|---|
| 月経中や前後を避ける | 経血が混入して潜血陽性になることがあるため |
| 激しい運動直後を避ける | 運動後に一時的な血尿がみられることがあるため |
| 清潔な中間尿を採る | 外陰部などからの混入を減らすため |
| 大量のビタミンC摂取に注意する | 尿潜血試験紙の反応が弱くなり、偽陰性となることがあるため |
普段の食事に含まれるビタミンCまで避ける必要はありません。
ただし、高用量のビタミンCサプリメントなどを使用している場合には、
検査時に医療者へ伝えておくとよいでしょう。
尿潜血だけの場合と、尿蛋白もある場合では意味が違う
尿潜血を評価するときに特に重要なのが、
尿蛋白や腎機能低下を伴っているかです。
| 検査結果 | 考え方 |
|---|---|
| 尿潜血のみ | 尿路疾患や一過性の血尿など、幅広い原因を考える |
| 尿潜血+尿蛋白、eGFR低下 | 糸球体腎炎など腎臓由来の病気をより考える |
特に尿蛋白や腎機能低下を伴う血尿では、
糸球体由来の病気を考え、腎臓内科での評価が適することがあります。
尿沈渣で変形赤血球や赤血球円柱など、
糸球体性血尿を疑う所見が確認された場合も同様です。
尿蛋白±・+の考え方については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
▶︎尿タンパク±・+は水分量で変わる?健診の「濃い尿・薄い尿」の落とし穴
発熱・皮疹・呼吸器症状などがあれば医師に伝える
尿潜血だけでなく、
他にどのような症状があるか
も原因を考える重要な手がかりになります。
特に次のような症状がある場合には、受診時に伝えてください。
- 発熱
- 皮疹
- 関節痛
- むくみ
- 息切れや呼吸器症状
- 目で見て分かる赤色・褐色の尿
血尿に発熱、皮疹、呼吸器症状などが伴う場合には、
糸球体腎炎や血管炎などの全身性疾患が背景にないか確認することがあります。
泌尿器科での評価を考えるのはどんな場合?
尿沈渣で血尿が確認されても、
尿蛋白や腎機能低下など腎臓内科を優先する所見がなければ、
腎盂・尿管・膀胱など尿路由来の原因
についても確認します。
代表的な原因には、
尿路結石、尿路感染、前立腺や膀胱などの病気があります。
また、持続する血尿では尿路上皮癌などを見逃さないために、
次のようなリスク因子も確認します。
これらに該当するからといって、
尿路上皮癌があるという意味ではありません。
血尿が持続する場合に、泌尿器科でどこまで詳しく調べるかを判断するための情報
として重要です。
肉眼的血尿や強い症状がある場合は再検査を待たない
健診で偶然見つかった尿潜血と、
目で見て分かる血尿(肉眼的血尿)
は同じようには扱いません。
赤い尿や褐色の尿が実際に出た場合には、
次回の健診までそのまま様子を見るのではなく、医療機関へ相談してください。
また、次のような症状が強い場合にも早めの受診を考えます。
- 強い腰痛・脇腹の痛み
- 発熱を伴う排尿時痛
- 尿が出にくい、出ない
- 血の塊が尿に混じる
- 全身状態が悪い
腎臓内科と泌尿器科、どちらを受診すればいい?
今回のフローチャートでは、
尿蛋白や腎機能低下など、腎臓そのものの病気を疑う所見があれば腎臓内科へ、
それらがなければ泌尿器科的な原因を評価する、
という大まかな流れを示しました。
| こんな場合 | 相談先の目安 |
|---|---|
| 尿蛋白を伴う | 腎臓内科 |
| eGFR低下を伴う | 腎臓内科 |
| 変形赤血球・赤血球円柱などがある | 腎臓内科 |
| 発熱・皮疹・呼吸器症状など全身疾患を疑う | 腎臓内科・内科 |
| 肉眼的血尿がある | 泌尿器科 |
| 排尿時痛・頻尿・尿意切迫などがある | 泌尿器科 |
| 尿路上皮癌のリスク因子がある | 泌尿器科 |
近くに腎臓内科や泌尿器科がない場合は?
最初から自分で専門科を完全に選ぶ必要はありません。
近くに腎臓内科や泌尿器科がない場合や、
どちらを受診すればよいか判断しにくい場合には、
まず一般内科やかかりつけ医に健診結果を持参して相談
しても構いません。
尿検査、腎機能、症状や既往を確認したうえで、
必要に応じて腎臓内科や泌尿器科へ紹介してもらうことができます。
まとめ|尿潜血±・+は「再確認」から始める
尿潜血±・+が一度出ただけで、
腎臓病や尿路の病気があると決まるわけではありません。
まず、
月経、激しい運動、発熱、尿路感染など検査に影響する条件がなかったか
を確認します。
条件が重なっていた場合には、条件を整えて再検査します。
それでも尿潜血が続く場合には、
尿沈渣で実際に赤血球が増えているか確認する
ことが次のステップです。
そのうえで、
尿蛋白や腎機能低下があれば腎臓由来の病気を、
それらがなければ尿路由来の病気を中心に評価していきます。
大切なのは、
「尿潜血+だったから重い病気」と考えることでも、
「±だから問題ない」と決めつけることでもありません。
ほかの検査結果や症状と合わせて次の行動を決めることです。
「自分の健診結果はどこまで心配?」という方へ
腎臓の健診結果は、尿潜血だけでは判断できません。
eGFR、クレアチニン、尿蛋白、過去の検査結果の推移などを組み合わせることで、
「様子を見てよいのか」
「再検査が必要なのか」
「医療機関を受診した方がよいのか」
が分かりやすくなります。
こうした健診結果の読み方と、
次に何をすればよいかについては、
拙著
『健診で「腎臓が悪い」と言われたら読む本』
でもまとめています。
参考文献
- 血尿診断ガイドライン改訂委員会 編.
血尿診断ガイドライン2023.
日本腎臓学会・日本泌尿器科学会ほか. - 日本腎臓学会.検尿の原則.
- 日本人間ドック・予防医療学会.尿検査.
※本記事は一般的な医療情報の提供を目的としており、
個別の診断・治療を行うものではありません。
症状や検査結果に応じた対応については、医療機関でご相談ください。

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