【専門医監修】腎臓を守る生活習慣ガイド | 食事運動と並ぶ第三の柱

腎臓を守る生活習慣ガイド | 食事運動と並ぶ第三の柱 腎臓×生活習慣

腎臓病(CKD)は、ある日突然起こる病気ではありません。
日々の生活習慣の積み重ねが、長い時間をかけて腎機能に影響していきます。

本サイトではこれまで、運動食事という視点から「腎臓を守る方法」を解説してきました。
本記事ではそれに加えて、喫煙・睡眠・体重管理・水分管理などといった生活習慣全体に焦点を当てて整理します。

いずれも「これをすれば必ず良くなる」という話ではありません。

生活習慣というのは他の様々な要素との関連も多く、本人がわからない状態での調査(盲検化)が難しく、明確な因果関係を研究で証明するのは困難なことも多くなります。
因果関係が証明されていない領域も含めて、現時点で分かっていること・分かっていないことを区別しながら解説します。


腎臓と生活習慣の関係をどう理解すべきか

腎臓は「沈黙の臓器」

腎臓は、かなり機能が低下するまで自覚症状が出にくい臓器です。しかも悪くなった際にはもとに戻すことは難しいことがほとんどです。
そのため、生活習慣による影響も気づかれないまま進行することがあります。

「関連がある」と「原因である」は違う

生活習慣と腎機能の研究の多くは観察研究です。
つまり「〜すると悪くなる」と断定できない場合も少なくありません。

それでも、複数の研究で一貫した関連が示されている習慣については、リスク管理という視点で見直す価値があります。


喫煙と腎臓:腎機能・筋肉・QOLとの関連

喫煙は、心血管疾患だけでなく、腎機能低下や蛋白尿との関連が報告されています。
また、筋量低下や身体機能低下(サルコペニア)との関連も指摘されています。

直接的な因果関係が証明されているわけではありませんが、喫煙量が多くなると悪化し、禁煙すれば改善するという複数の健康アウトカムにまたがる不利益が示されている点から直接的な悪化要因として考えられています。つまりより早く禁煙するということが重要になってきます。詳細は下記の記事をご覧ください。

▶︎ 喫煙が腎臓・サルコペニア・QOLに与える影響を詳しく読む


睡眠と腎臓:短すぎても長すぎてもリスク?

睡眠時間と死亡リスク、CKDリスクの間にはU字型の関連があることが報告されています。つまり短すぎても長すぎてもリスクとなる可能性が指摘されています。

睡眠は単独の要因というより、生活リズム全体の指標と考える方が現実的です。病気があるから短時間睡眠となっている場合などの影響も考慮する必要があります。
睡眠障害は活動量低下や体重変化を通じて、間接的に腎臓へ影響する可能性があります。

一日のおおよそ1/3~1/4を占める睡眠について腎臓との関係を今一度調べてみました。

▶︎ 睡眠と腎臓の関係をエビデンスベースで読む


50代からのサルコペニア肥満と腎臓

中年期以降は、体重が大きく変わらなくても、筋肉が減って脂肪が増える「サルコペニア肥満」が進行しやすくなります。日々の生活はあまり変わっていないのに、ズボンのベルトがキツくなったり、階段の登り下りが厳しくなってきたりします。

これはCKD、フレイル、転倒リスクと関連する重要なテーマです。
生活習慣(喫煙・睡眠・運動不足)の結果として現れるアウトカムとも言えます。この状態を放置すると将来的には様々な重度の疾患につながるリスクがあると考えられます。

▶︎ 50代から考えるサルコペニア肥満と腎臓


CKD・透析患者における水分管理という特殊な生活習慣

「水をたくさん飲めば腎臓に良い」という言説は広く耳にしますが、CKDや透析患者では当てはまりません。とはいえ飲まなさすぎるのも良くありません。

腎臓や心臓が悪い方は、一般の人と比較して、安全域(飲みすぎたり飲まなさすぎても問題ない量)が狭くなっていると考えられます。

病期や治療状況によって、適切な水分量は大きく異なります。
生活習慣の中でも、最も医療判断が重要な領域です。下記に一般的に筆者が実臨床で指導している内容をまとめました。

▶︎ CKD・透析患者のための安全な水分管理


生活習慣は「全部変える」必要はありません

  • 禁煙は最優先
  • 睡眠は「整える」意識
  • 体重・筋肉は「維持」を目標に
  • 水分管理は必ず主治医と相談

完璧を目指す必要はありません。
今できることを一つ選ぶことが、長期的には腎臓を守る行動につながります。


腎臓を守る他の重要テーマ

運動・食事・生活習慣は、いずれか一つではなく組み合わせて考えることが重要です。

このサイトについて

本サイトは、腎臓・透析領域を専門とする医師が、医学的根拠と実体験をもとに、腎臓にやさしい生活習慣について発信している個人ブログです。

特定の治療や商品を勧めることを目的とせず、健診異常や軽度CKDの段階から役立つ情報提供を目指しています。

執筆者の詳しい経歴や運営方針については、こちらのプロフィールページをご覧ください。

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