クレアチンは腎機能を悪化させる?|30年のエビデンスを専門医が整理

「クレアチン=腎臓に悪い」は本当? 腎臓×生活習慣
クレアチンは、運動パフォーマンス向上や臨床的アウトカム改善を目的として、
世界中で広く利用されているサプリメントです。
一方で「腎臓に悪い」「がんのリスクがある」といった懸念も根強く残っています。本記事では、30年以上にわたる科学的エビデンス
腎臓・透析専門医としての臨床経験の両面から、
クレアチンと腎機能の関係を整理します。

クレアチンの良い点:腎臓への影響

腎機能への悪影響が懸念される一方で、特定の条件下では
クレアチンが腎臓病患者にとっても有益である可能性が示されています。

腎臓・腎疾患患者におけるクレアチンの知見

対象 摂取量・期間 主な結果
慢性血液透析患者 2–5g/日・数週間 筋力・身体機能の改善、筋痙攣の減少
2型糖尿病患者 5g/日・数ヶ月 筋量増加、運動耐容能改善
片腎の若年者 推奨量・数ヶ月 健康成人と同様の反応
小児・高齢者(リウマチ疾患など) 医師管理下 筋力・QOL改善

これらの研究では、推奨量を守った範囲において
腎機能の悪化は一貫して認められていません。


クレアチンの良い点:腎臓以外の効果

腎臓以外に報告されている主な効果

領域 効果
筋力・筋量 除脂肪体重・筋力の有意な増加
運動パフォーマンス 短時間高強度運動の能力向上
神経保護 ALS・ハンチントン病モデルで神経保護作用
熱中症・痙攣 体温調節改善、筋痙攣の減少
抗腫瘍作用 CD8 T細胞活性化による腫瘍抑制の可能性

運動パフォーマンスや筋量に関しては30年以上の研究によってエビデンスは確立されています。

一方で、神経保護作用や抗腫瘍効果に関してはまだ基礎研究や動物実験などでポジティブな可能性は示唆されているものの、今後のさらなる研究が期待されます。


デメリットと注意点

誤解されやすいポイント:クレアチニン上昇=腎障害ではない

クレアチンで腎機能が悪化したように見える理由

クレアチンは体内で自然にクレアチニンへと代謝されます。
そのため、血液検査でクレアチニン値が上昇し、
eGFRが低下したように見えることがあります。

“腎機能が悪い”と言って受診する人に、サプリメントや筋トレ歴を聞くのがこういう理由もあるのです。

しかしこれは腎臓のダメージではなく代謝産物の増加であり、
真の腎機能評価にはシスタチンCなどの指標が推奨されます。

  • 一度に10g以上摂取 → 下痢・腹部膨満感
  • 初期に1–3kgの体重増加(細胞内水分増加)
  • 低品質製品による不純物リスク

エビデンスの限界と注意点

  • 動物実験は人間換算で極端な高用量条件
  • 症例報告の多くは基礎疾患・薬剤併用あり
  • 妊婦・進行した腎障害患者のデータは不足

まとめ

最新のエビデンスでは、健康な個人が推奨量(5–20g/日)を守る限り
クレアチンが腎機能を悪化させる根拠はありません。

一方で、検査値の誤解や過剰摂取を避けるためには、
医療者の視点と正確な知識が不可欠です。

その他の腎臓と生活習慣の関係については、「腎臓を守るために本当に必要な生活習慣とは」で解説しています。


参考文献

  • Longobardi I, et al. Front Nutr. 2025;12:1682746.
  • Souza RA, et al. J Sports Sci Med. 2009;8:672–681.
  • Poortmans JR, Francaux M. Sports Med. 2000;30(3):155–170.

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