尿蛋白+を放置していい?腎機能が正常と言われた人が見落としがちなリスク

尿蛋白+は「異常なし」のサインではない 腎臓の基礎知識

尿蛋白+が続いているけど放置していい?
「腎機能は問題ない」と言われた人が知っておくべき現実

「尿蛋白+は昔から出ているけど、特に詳しく調べるとは言われなかった」
「腎機能は問題ないから大丈夫と言われてきた」
腎機能や尿蛋白に関する診察を日々行ってきた中で、長年そのままにしている方は少なくないという実感があります。

結論から言うと、尿蛋白+が続いている状態を“何も確認せずに放置すること”はおすすめできません。


なぜ尿蛋白+だけでも注意が必要なのか

尿蛋白は、腎臓の「フィルター機能」が傷ついているサインである可能性があります。
eGFR(腎機能)が保たれていても、尿蛋白があるだけで将来のリスクが大きく上昇することが、多くの研究で示されています。

  • 将来、透析や腎移植が必要になるリスク
  • 心不全・脳卒中などの心血管イベント
  • 死亡リスク

これらは「腎機能が悪くなってから」ではなく、尿蛋白が出ている段階から差がつくことが分かっています。


尿蛋白「定性検査」だけでは不十分な理由

健診で行われる尿検査の多くは、試験紙を使った尿蛋白定性検査(+、±など)です。
しかし、この検査は次のような条件で結果が大きく左右されます。

  • 尿の濃さ
  • 微量アルブミン尿に関しては十分検査できない
  • アルブミン以外の蛋白尿は拾えない場合がある
  • 尿の酸性・アルカリ性によって検査結果が変わる

そのため、「+が出た/出なかった」だけで腎臓の状態を正確に評価することはできません。

尿蛋白検査の種類と特徴

検査方法 特徴 位置づけ
尿蛋白定性(+/−) 簡便・健診向きだが誤差が大きい スクリーニング
尿蛋白/Cr比
尿アルブミン/Cr比
尿の濃さを補正できる 最低限確認したい検査
24時間蓄尿 最も正確 精密評価

少なくとも一度は、尿蛋白クレアチニン比または尿アルブミンクレアチニン比での評価を行うことが望ましいと考えられます。


「一過性の蛋白尿」と「注意が必要な蛋白尿」

一般に、次のような場合は一過性蛋白尿として病的意義が乏しいことがあります。

  • 激しい運動の直後
  • 感染症
  • 月経時

そのため、早朝尿(起床後すぐ、体を動かす前)で再確認することがよく行われます。

一方で、繰り返し尿蛋白が出る場合は、腎機能が正常でも注意が必要です。

腎機能が正常でも進行するケース

中には、過剰濾過と呼ばれる状態のように、
尿蛋白が出ている段階では腎機能が保たれていても、
その後急速に腎機能が低下していく病態も存在します。

過剰濾過による腎臓への悪影響の解説

過剰濾過の原因としては

  • 糖尿病
  • 肥満
  • 高タンパク
  • 妊娠
  • 構造的な問題(低出生体重・腎臓が片方しかないなど)

などが考えられ、腎機能がむしろ良過ぎる場合もあるため注意が必要です。


尿検査は「腎臓内科以外では見逃されやすい」

尿蛋白は、血液検査と比べて軽視されやすく、
腎臓内科以外では深く追われないことも少なくありません。

特に、

  • 高血圧
  • 糖尿病
  • 肥満
  • 腎機能低下や尿検査異常の指摘歴

ある場合は、少なくとも年1回は尿検査を確認しておくことが一般的です。

健診で腎機能異常を指摘された場合の考え方は、以下の記事で整理しています。

▶︎ 健診で腎機能異常を指摘されたら|eGFR・尿蛋白の正しい見方


まとめ:尿蛋白+だけでも「まず現状認識」を

尿蛋白+が続いている場合、
急に自己判断で食事やサプリを変える必要はありません。

しかし、「問題ないと言われたから何もしない」ままにするのも適切ではありません。

  • 定量評価を一度は行う
  • 持続性かどうかを確認する
  • 自分がどのリスク群にいるのかを知る

そのための基礎知識は、以下の記事にまとめています。

▶︎ CKD(慢性腎臓病)の基礎知識|まず知るべきリスクの考え方

本記事は一般的な医学情報の整理を目的としており、個別の診断や治療を行うものではありません。
検査の必要性や対応については、医療機関での判断が前提となります。

参考文献

  1. Kidney Disease: Improving Global Outcomes (KDIGO) CKD Work Group.
    KDIGO 2024 Clinical Practice Guideline for the Evaluation and Management of Chronic Kidney Disease. Kidney Int. 2024.
  2. Zhang L, et al. Exercise therapy improves eGFR, and reduces blood pressure and BMI in non-dialysis CKD patients: evidence from a meta-analysis. BMC Nephrol. 2019.
  3. Ma Q, et al. The effect of regular aerobic exercise on renal function in patients with CKD: A systematic review and meta-analysis. Front Physiol. 2022.
  4. Hallan SI, et al. Long-Term Physical Exercise for Preventing CKD in Older Adults: A Randomized Clinical Trial. JASN. 2025.
  5. Traise A, et al. The effect of exercise training on quality of life in people with chronic kidney disease requiring dialysis. A systematic review with meta-analysis. J Nephrol. 2025.
  6. American College of Sports Medicine. ACSM’s Guidelines for Exercise Testing and Prescription, 11th Edition. Wolters Kluwer. 2021.

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