コーヒーは本当に体と心に良い? 最新研究でわかった「メンタル・心臓・がん」への影響まとめ
朝の目覚め、仕事前、筋トレ前……「コーヒーがないと始まらない!」という方は多いのではないでしょうか。筆者も、毎日のコーヒー習慣に助けられています。
これまでコーヒーの腎臓への影響を解説しましたが、今回はそれらをまとめて「健康全体への効果」を整理します。
メンタル、心臓、がん、睡眠まで。最新研究からわかることを医師の視点でシンプルにまとめました。
① コーヒーと不安:飲みすぎると悪化、デカフェは選択肢
健常者でもカフェイン摂取量が増えると不安症状が強まることが報告されています(Liu et al., 2024)。
- FDAの上限:1日 400mg(コーヒー約4〜5杯)
- パニック障害では高用量が発作の誘因に
- 不安を感じやすい人はデカフェが有効
筆者も夕方以降はデカフェに切り替えると、動悸や不安感の改善を実感しています。
② コーヒーとうつ:1杯増えるごとにリスク4〜8%低下
約40万人を対象としたレビューでは、コーヒーの摂取量が1杯増えるごとに、うつ病リスクが4〜8%低下していました(Emadi & Kamangar, 2025)。
- 抗酸化物質(クロロゲン酸)が精神面に好影響
- 40歳以上では特に保護的
- 大学生では逆に抑うつと関連した報告もあり、個人差は大
- 自殺リスク低下はカフェイン入りのみ(デカフェは効果なし)
筋トレ前の1杯で気分が上がるのは、私も実感しています。
③ コーヒーと睡眠:就寝8時間前までが安全ライン
カフェインは総睡眠時間・深睡眠を減らし、翌日の気分にも影響します(Clark & Landolt, 2017)。
- 就寝8時間前からカフェインを控える
- 睡眠不足は不安・うつを悪化させる
- CKD・透析患者は水分管理にも注意
夕方以降に眠れない日は「カフェインの残り効果」を疑いましょう。
④ 遺伝で変わる「何杯まで平気か」:カフェイン感受性は人それぞれ
カフェインの代謝速度は遺伝的に決まりやすく(Unsal & Sanlier, 2025)、同じ量を飲んでも体感が大きく異なります。
目安は1〜4杯(カフェイン100〜400mg)。睡眠・不安・動悸をみながら調整しましょう。
⑤ コーヒーと心血管疾患:心臓病・脳卒中リスクが下がる
心臓・血管への影響はエビデンスが安定しており、適量のコーヒー摂取は心血管疾患のリスクを減らすことが多くの研究で示されています。
- 1~3杯/日で死亡リスクが最も低い
- 心不全・心筋梗塞・脳卒中のリスク低下
- デカフェでも一定の保護効果
抗炎症作用や抗酸化作用が主なメカニズムだと考えられています。
⑥ コーヒーと癌:全体としては「リスク減少」に寄与
がん全体では予防的に働く可能性が高いとされ、特に以下が代表的です:
- 肝臓がん:明確にリスク低下
- 子宮体がん:リスク低下
- 前立腺がん:高用量で予防的
- 乳がん:効果は限定的(閉経後にやや低下)
一方で、深煎り・浅煎りの違いで抗酸化成分量が変わることも報告されています。
⑦ まとめ:コーヒーは「メンタル・心臓・がん」すべてでプラスが多い
- うつ病リスク 4〜8%低下(1杯ごと)
- 不安は高用量で悪化 → デカフェが選択肢
- 睡眠は就寝8時間前までに
- 遺伝で感受性は人それぞれ
- 心血管疾患リスクが下がる
- 肝がん等の癌リスクも低下
因果関係が完全に証明されたわけではありませんが、食事や運動と同じく「適量」が健康にプラスの影響をもたらします。
あなたに合った「ちょうどいい一杯」をぜひ見つけてください!
参考文献
Bertasi, R. A. O., et al. (2021). Caffeine Intake and Mental Health in College Students. Cureus, 13(4).
Liu, C., et al. (2024). Caffeine intake and anxiety. Frontiers in Psychology.
Clark, I., & Landolt, H. P. (2017). Coffee, Caffeine, and Sleep. Sleep Medicine Reviews.
Emadi, R. C., & Kamangar, F. (2025). Coffee’s Impact on Health. Nutrients.
Unsal, S., & Sanlier, N. (2025). Lifetime Caffeine Consumption. Current Nutrition Reports.
その他、心血管・癌に関する主要レビュー多数。
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