コーヒーで癌や心血管疾患が予防できる?医師が最新研究を解説

食事と栄養管理

はじめに:コーヒー、心臓や癌にどう影響する?

皆さんも日々コーヒーを楽しんでいますか?暑いので筆者は最近はパックのアイスコーヒーを冷蔵庫に常備しています。医師として食事と栄養管理を試みるDr.Crescentです。前回はコーヒーと腎臓の関係を解説しましたが、今回は心血管疾患と癌に焦点を当ててみたいと思います。この記事では、人生実験室として、最新研究をわかりやすく紐解いていきたいと思います。忙しい子育てや仕事の中でも参考にどうぞ!

コーヒーと癌:発がん性から予防効果へ

1991年、国際がん研究機関(IARC)はコーヒーを「発がん性が疑われる(グループ2B)」と分類しましたが、これは喫煙の影響が混ざった結果でした。2016年の再評価では「人に対する発がん性は分類できない」と変更。一方、65℃以上の熱い飲料は「発がん性がある可能性(グループ2A)」となってり、熱すぎるコーヒーは避けた方が良さそうです。

最近の研究では、予防効果が注目:

  • 1日3-4杯のコーヒーで肝臓がんリスクが40〜50%低下。
  • 子宮内膜がんリスクも15-20%低下。用量反応関係あり。

しかしながら、焙煎で生成されるアクリルアミドは遺伝毒性を持つ発がん物質(EFSA, 2022)。疫学研究ではヒトへの関連は一貫した結果は得られていません。

コーヒーと心血管疾患:リスク低減の可能性

救急現場でカフェイン中毒の患者さんに出会ったことがありますが、過剰摂取(1日10杯以上)の極端なケースです。

  • 1日2杯以上で心不全リスク30%低下。
  • 1日3〜5杯で脳卒中リスク10-20%低下。
  • 不整脈は増えず、むしろ減る可能性。

カフェイン、クロロゲン酸、カフェストールなどの成分が、抗酸化や抗炎症作用で効果を発揮すると考えられています。筆者は朝の1杯やジムトレーニング前に飲んでパフォーマンスの向上を目指しています。

どう楽しむのがベスト?

摂取量: 1日3-4杯(カフェイン300-400mg)以下。妊婦や不眠症の方は200mg以下に。

温度: 65℃以上の熱い飲料は避け、適温で。

注意点: CKD患者さんはカリウムが上がりやすいので主治医に相談( CKD・透析患者の水分管理:医師が教える安全な方法 )。砂糖・クリームは健康効果を減らす可能性あり。

筆者はブラック派です。カフェインに弱いので1日1~2杯、朝や筋トレ前に楽しんでいます。子育て中のリフレッシュにぴったりですね

まとめ:コーヒーで健康をサポート

癌では熱さ以外の発がん性は否定的、肝臓がんや子宮内膜がんリスク低下。心血管疾患ではリスク低減の可能性。因果関係は不明なので、個人差を考慮し、主治医に相談を。コーヒーで日々を楽しもう!

👉 次回は「コーヒーとメンタルヘルス」をテーマに。お楽しみに!

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参考文献

Godos J, et al. (2017). Coffee Consumption and Risk of Biliary Tract Cancers and Liver Cancer: A Dose–Response Meta-Analysis of Prospective Cohort Studies. Nutrients, 9(9), 950.

Crous-Bou M, et al. (2022). Coffee consumption and risk of endometrial cancer: a pooled analysis of individual participant data in the Epidemiology of Endometrial Cancer Consortium (E2C2). American Journal of Clinical Nutrition, 116, 1219-1228.

European Food Safety Authority (EFSA). (2022). Scientific report on the assessment of the genotoxicity of acrylamide. EFSA Journal, 20(5), 7293.

Stevens LM, et al. (2021). The Association between Coffee Intake and Incident Heart Failure Risk – A Machine Learning Analysis of the Framingham Heart, Atherosclerosis Risk in Communities study, and Cardiovascular Health Studies. Circulation: Heart Failure, 14(2), e006799.

Ding M, et al. (2014). Long-Term Coffee Consumption and Risk of Cardiovascular Disease: A Systematic Review and a Dose–Response Meta-Analysis of Prospective Cohort Studies. Circulation, 129, 643-659.

Cao Y, et al. (2022). Association of Coffee Consumption With Atrial Fibrillation Risk: An Updated Dose–Response Meta-Analysis of Prospective Studies. Frontiers in Cardiovascular Medicine, 9, 894664.

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