はじめに:給与所得者のための資産運用戦略
資本主義社会で給与所得者として働く皆さま、投資を始める前に自身の立ち位置を見直してみませんか? 腎臓内科医でマイクロ法人と資産設計を実践するDr.Crescentです。この記事では、インフレ時代に医師の給与が実質的に目減りする課題を踏まえ、iDeCo、NISA、特定口座、法人運用の選択肢を比較します。子育て中の仕事と育児の両立を目指す方にも役立つ内容です。投資の第一歩を踏み出しましょう!
資本主義社会の4つの役割:医師はどこに?
資本主義社会では、利潤を生み出すために資本と労働力が投下され、働き方はemployee(給与所得者)、self-employed(自営業)、business owner(事業主)、investor(投資家)の4つに分類されます。医師は主にemployeeで、保険診療に縛られ、資本家(investor)と利潤を分け合う立場です。デフレ時代は安定していましたが、インフレにより通貨価値が低下。医師の給与は横ばい傾向で、実質的な購買力が減少しています。開業医はself-employedですが、保険点数に縛られ自由度が低い。真の利潤を得るにはbusiness ownerやinvestorになるのが理想です。employeeの医師にとって、投資でinvestorの役割を兼ねるのが現実的な一歩です。私の場合、マイクロ法人を設立し、投資を加速させました。
インフレ時代の医師給与:実質目減りの現実
高齢化による社会保障費の増大で、保険点数が上がりにくい医師の給与はインフレに脆弱です。例として、500mlペットボトル飲料が数年前の150円から現在210円に上昇(消費者物価指数ベースで約5%/年上昇、総務省統計局)。年収1000万円の医師がペットボトル換算で約670万本(10年前)から約480万本(現在)に減少し、実質的な購買力が約7割に低下しています。20代で年収800万円(初期研修)、1000万円超(後期研修)は魅力的ですが、30代以降はインフレで他業種に抜かれやすい。解決策は投資による資産形成です。
実験メモ:研修医時代、給与の余剰を投資に回し、インフレで実感したのは現金保有のリスク。子育て中の医師でも、時間管理を工夫すれば投資は可能です!
投資の第一歩:複利を味方につけよう
以前の記事でも掲載しましたが、非常に重要なので再掲します。アインシュタインが「人類最大の発明」と称した複利は、医師の資産運用に最適です。20代から始めれば、時間の力で大きな資産を築けます。例:年利3%で3000万円を貯めるために投資する期間とその月あたりの投資額の概算表です。
| 期間 | 月投資額 | 資産額(税引き前) |
|---|---|---|
| 30年 | 5万円 | 約3000万円 |
| 15年 | 13万円 | 約3000万円 |
| 10年 | 21万円 | 約3000万円 |
投資期間が長いほど少額で効果的です。円預金だけではインフレで購買力が低下。医師の高収入を活かし、少額からでも始めましょう。
投資制度:iDeCo、NISA、特定口座、法人運用の比較
暗号資産やFxは税制が課題。不動産に関しては医師免許の与信を使った借入で参入障壁はやや低くなりますが、そもそも良い物件をプロと争って獲得できるのかという問題があります。株式投資が現実的ですが、制度選びが重要です。医師のライフプラン(退職年齢、法人活用)を考慮して比較します。
- iDeCo:掛け金が所得控除で魅力的ですが、令和7年税制改正で退職所得控除が改悪(国税庁PDF)。idecoの一時金受取→退職金と10年離さないと控除減額。退職金受取→ideco受取ならそもそも20年離さなければ控除額が減ります。一時金受取ではなく、年金受け取りという選択肢もありますが雑所得のため他の給与所得との合算で所得税や住民税が増えます。また、金融所得の総合課税化で不利になる可能性もあります。転職を繰り返す医局派遣の医師であれば部長クラスで最後に就任する病院で多少の退職所得はあるかもしれませんが、idecoと合わせた額でもある程度は控除の範囲になるのではないでしょうか。
- NISA:非課税で初心者におすすめ。政府の非課税継続方針で安心。
- 特定口座:20.315%の源泉徴収が続くが、増税や総合課税化のリスクあり。
- 法人運用:個人制度の改悪が進む中、マイクロ法人で税繰延を活用。法人での資産管理をするメリットは後日別記事で紹介予定。
例)24歳からiDeCoを開始、60歳で一時金受け取り、毎月2.3万で年利5%と仮定した場合、60歳での受取額は2700万円(掛け金は約1000万、退職所得控除約2000万円)。勤め先の退職によって60歳で退職金をもらった場合(500万円とする)退職金分の控除はなくなり、(2700-1000+500ー2000)/2=100万が課税所得になる計算です。
おわりに:医師の強みを活かして投資を
医師の高収入を複利で活かせば、インフレに強い資産を築けます。iDeCoの改悪を考慮し、NISAや法人運用を検討しましょう。
筆者はidecoの受給額が控除額を上回っていることが想定され、60歳で法人からの退職金や小規模企業共済の解約金ももらうとその半額に課税される計算となります。よって70歳時点で法人からの退職金や退職所得控除を受け取るか、そもそも法人自体を相続していくかをいろいろ調べてみようと思っています。当面は夫婦分のNISAをまず全額埋めつつidecoは2.3万毎月積立、小規模企業共済満額、余ったキャッシュは法人に貸付てオルカンに投資しています。
皆さんの今後の退職やidecoの受取プランなどをコメントでシェアしてください!思いついたら即行動! 少額からでも始めてみませんか?
参考文献:
国税庁:退職所得控除の改正
総務省統計局:消費者物価指数


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