青色申告とは?
筆者は法人設立ワンストップサービスを使って法人設立を行いました(詳細はこちら: 法人設立ワンストップサービスを使ってみた:マイクロ法人設立の実体験 )。
設立時には「青色申告の承認を受けるかどうか」を選ぶ場面があります。
まずは一次情報を確認しようということで、「青色申告 国税庁」で検索すると、 国税庁:No.2070 青色申告制度 が表示されますが、これは対象税目が所得税となっており、個人事業主や不動産所得に関するもの。
では法人の場合はどうでしょうか?国税庁のページでは直感的に全体像を把握できる説明が見当たらなかったため、一次情報としてe-Gov法令検索において法人税法、法人税法施行令、法人税施行規則を確認しました
青色申告の承認
法人における青色申告の承認については、 国税庁:C1-19 青色申告書の承認の申請 に記載があります。
承認申請に記載する事項は、法人設立時に決める内容のほかは、「帳簿組織の状況」「税理士の関与の有無」程度であり、複雑なものではありません。
マイクロ法人の帳簿について
青色申告については、法人税法第121条以降に記載されています。以下に関連条文を示します(▶︎をタップすると条文の要約が表示されます。)。
法人税法 第126条
第百二十六条 第百二十一条第一項(青色申告)の承認を受けている内国法人は、 財務省令で定めるところにより、帳簿書類を備え付けてこれにその取引を記録し、 かつ、当該帳簿書類を保存しなければならない。
法人税施行規則では次のように定められています。
法人税施行規則 第54条〜第55条
第五十四条 青色申告法人は、全ての取引を借方及び貸方に仕訳する帳簿(仕訳帳)、 全ての取引を勘定科目の種類別に分類して整理計算する帳簿(総勘定元帳)その他必要な帳簿を備え、 別表二十二に定めるところにより、取引に関する事項を記載しなければならない。 第五十五条 青色申告法人は、仕訳帳には、取引の年月日、内容、勘定科目及び金額を記載し、 総勘定元帳には、勘定ごとに記載の年月日、相手方勘定科目及び金額を記載しなければならない。
別表22:青色申告書の提出の承認を受けようとする法人の帳簿の記載事項
(要約)現金出納、預金、手形、売掛・買掛金、有価証券、減価償却資産などについて、 取引日、相手方、内容、金額などを記載すること。
実務上、マイクロ法人では最低限としては仕訳帳・総勘定元帳を備え付け、現金出納や有価証券台帳以外に日常的に記録すべき内容は少ない場合が多いです。
決算に必要な書類
法人税施行規則第57条により、決算時には貸借対照表(BS)および損益計算書(PL)の作成が求められています。
別表23:貸借対照表及び損益計算書に記載する科目
貸借対照表:現金、預金、売掛金、有価証券、建物、土地、資本金、利益剰余金など。 損益計算書:売上高、仕入高、人件費、減価償却費、旅費交通費、通信費、公租公課など。
青色申告の承認における決算に関しては、基本的にBSとPLを作成すれば足りると解釈できます。
保存期間について
法人税施行規則第59条では、帳簿・決算書類などを原則7年間保存することが定められています。
法人税施行規則 第59条 抜粋
青色申告法人は、帳簿書類、棚卸表、貸借対照表、損益計算書、契約書・領収書などを整理し、 起算日から7年間保存しなければならない。
ただし、欠損金の繰越控除を受ける場合には、以下の通り10年間の保存が必要となります。
法人税施行規則 第26条の3 抜粋
内国法人が欠損金の繰越控除を受けようとする場合、 当該欠損金が生じた事業年度の帳簿書類を起算日から10年間保存しなければならない。
当法人はしばらく赤字が続く見込みのため、帳簿は10年間保存する予定です。
そもそも青色申告のメリットについて
青色申告法人となることで、いくつかの税務上の優遇措置を受けられます。とはいえ一般的なマイクロ法人で有効なのは下記の二点だと考えています。
国税庁:No.5408 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例
中小企業者等が令和8年3月31日までに30万円未満の減価償却資産を取得し、 その事業年度内に損金経理した場合、その取得価額を損金算入できる。
法人税法 第57条 抜粋(欠損金の繰越控除)
資本金が1億円以下の普通法人は各事業年度開始の日前十年以内の欠損金がある場合は、古い順から当該各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する。
まとめ
情報通信業及び投資信託の保有を事業としているマイクロ法人ではしばらく法人の課税所得は0となる予定であり、青色申告の欠損金の繰越しは非常に重要だと考えています。日々複式簿記で仕訳を行い(とはいえ月に10件程度)、総勘定元帳を作成し、決算時期に作成する書類を10年間保存しておけばよいと考えています。

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