退職所得控除から考えるiDeCoと雇われとマイクロ法人

退職所得控除から考えるiDeCoと雇われとマイクロ法人 マイクロ法人と資産設計

はじめに:退職所得控除と資産運用の統合戦略

腎臓内科医としてマイクロ法人と資産設計を実践するDr.Crescentです。インフレで給与の実質価値が低下する中、給与所得者のための資産運用戦略として退職所得控除、iDeCo、NISA、マイクロ法人を組み合わせた出口戦略を提案します。老後資産形成の考え方として、子育て中の仕事と育児の両立を考える医師にも役立つ内容です。

退職所得控除の仕組み

退職所得控除は勤続年数に応じた優遇税制で、計算式は以下の通りです。

勤続期間退職所得控除の計算
20年以下40万円 × 勤続年数(A)
20年超800万円 + 70万円 × (A − 20)

控除後の残額の半額が課税対象で、分離課税が適用されます。例: 24歳就職、60歳退職、勤続36年、退職金2000万円の場合。

項目金額/計算式
勤続年数36年
退職所得控除800 + 70 × (36 − 20) = 1,920万円
課税対象(2,000 − 1,920) / 2 = 40万円
概算所得税(5%)40万円 × 5% = 2万円(住民税別途)

参考: 国税庁

iDeCoの試算と税扱い

毎月23,000円を30歳から60歳まで(30年)、年利5%で運用した場合の積立額を試算します。

条件
掛け金(毎月)23,000円
積立期間30年(360回)
想定利回り(年利)5%
将来価値(概算)約19,140,000円

(計算: 月次複利で23,000 × ((1+0.05/12)^(360) − 1) / (0.05/12))。iDeCoの受け取りは一時金(退職所得控除適用)または年金(雑所得で合算課税)が選択可能で、資産運用戦略で説明した例(60歳で2700万円受取、退職金500万円と合算)は課税所得100万円となる点に注意してください。

受け取り順序と「○年ルール」

iDeCoと退職金の受取順序は税制に影響します。10年ルールや19年ルールが適用され、間隔を空けなければ控除額が減る場合があります。以下の表で受け取り順序を比較します。

順序控除適用課税リスク
iDeCo→退職金10年以内に退職金を受け取ると控除減額課税所得増加(例: iDeCo1833万円 + 退職金500万円 – 控除2000万円 = 333万円/2 = 166.5万円が課税対象)
退職金→iDeCo19年以内にiDeCoを受け取ると控除減額同様に課税所得増加
年金受け取り雑所得で給与合算他の所得があれば税負担増

令和7年度税制改正大綱を参照しました。詳細はその都度確認を推奨

bufferとしてのマイクロ法人の活用

マイクロ法人は税制改正に柔軟に対応できる「箱」です。

例:

    • 法人で資産を管理し、金融所得の総合課税化や社会保険制度変更などの課税体系変更にも対応。

    • 役員借入金で資金移行し、給与扱いを回避(利子は課税)。

    • 70歳で法人解散時の退職金や小規模企業共済で控除を活用。

私の出口戦略は、60歳でiDeCo一時金、70歳で法人退職金を計画(資産運用戦略で詳細)。

注意点とまとめ

税制変更リスクがあるため、受け取り前や法人解散前に税理士に相談を。iDeCoは一時金か年金かで税負担が変わり、贈与税・相続対策も検討も合わせて考える必要があります。

高齢者の貯蓄の中央値は2500万円程度というデータもあります。「die with zero」を考えるのであれば、60歳以降はideco、法人の退職金、小規模企業共済の解約金で生活はできるのでは?と最近考えており、それまでに資産の移譲をいかに上手くやるかを考えていく必要があります。

法人の決算一年目が終われば、相続についても勉強していく予定ですので、またこのブログでもアウトプットしていきたいと思います。

要点:

    • 退職所得控除は有利だが改悪リスクあり。

    • iDeCoは受け取り方法で税制が異なる。

    • マイクロ法人は柔軟な資産管理に有効。

    • 専門家相談を推奨。

参考: 国税庁, 総務省統計局

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