一方で「腎臓に悪いのでは?」という不安を感じている方も少なくありません。
本記事では、最新の研究とガイドラインをもとに、
高タンパク食のメリットとリスクを天秤にかけながら、
健康診断が気になる世代にとっての最適解を整理します。
高タンパク食のメリット|ダイエット・脂肪肝・筋量維持
高タンパク食は筋トレ目的だけでなく、代謝改善や脂肪肝の改善にも寄与することが報告されています。
| 効果 | 研究で示された内容 |
|---|---|
| 体重・体脂肪 | 12週間のRCTで体重・BMI・体脂肪率が有意に低下 |
| 脂肪肝(MAFLD) | 肝脂肪量(CAP値)の有意な改善 |
| 筋肉量 | 減量中でも除脂肪体重の減少を抑制 |
高タンパク食のリスク|腎臓への「見えにくい負担」
問題となるのは、腎臓が常にフル稼働させられる状態が続くことです。
その代表的な概念が 糸球体過剰濾過(Hyperfiltration) です。
Hyperfiltrationは「腎機能が良くなった」ように見えるため誤解されやすいのですが、
実際には腎臓が無理をさせられている状態です。
- 短期:eGFRが高めに出る
- 中長期:蛋白尿・糸球体障害
- 長期:eGFR低下、CKD進行
「高タンパク」の定義はどれくらい?
| 定義の基準 | 数値 |
|---|---|
| 一般的推奨量(RDA) | 0.8 g/kg/日 |
| 高タンパク食(一般) | 1.6〜2.4 g/kg/日 |
| 脂肪肝研究での設定 | 総エネルギーの40〜45% |
| 腎リスク管理上の上限 | 1.3 g/kg/日超は注意 |
重要なのは「誰にとっての高タンパクか」です。
腎機能や蛋白尿の有無によって、安全域は大きく変わります。
▶︎ 腎機能別の具体的なタンパク質量については、「腎機能別のタンパク質制限の考え方」で詳しく解説しています
植物性タンパク質と動物性タンパク質の違い
| 項目 | 植物性タンパク質 | 動物性タンパク質 |
|---|---|---|
| 腎血流・糸球体圧 | 上昇しにくい | 上昇しやすい |
| 酸負荷 | 低い | 高い |
| 尿毒素産生 | 少なめ | 多め |
| ガイドライン評価 | 推奨されやすい | 摂取量に注意 |
KDIGOガイドラインでも、腎疾患がある場合は
植物性タンパク質の比率を高めることが推奨されています。
病態別|タンパク質摂取の考え方
- 腎機能が正常な場合
総エネルギーの15〜20%程度であれば、明確な腎障害の証拠はありません。 - CKDがある場合
病期に応じたタンパク制限が推奨されます。 - 治療目的での高タンパク
脂肪肝などで一時的に行う場合も、医療者の管理下が前提です。
研究の限界と注意点
- 観察研究が多く、因果関係の完全な証明は困難
- 短期研究が多く、長期影響は不明な点も残る
- サプリ併用や運動量の違いが結果に影響
まとめ|「高タンパク=悪」ではないが、万能でもない
プロテインや高タンパク食は、使い方次第で健康の強い味方になります。
一方で、腎機能や蛋白尿の有無によっては
「善意の習慣」が将来のリスクになることもあります。
健康診断で腎機能が気になり始めた方ほど、
量・質・目的を一度立ち止まって見直すことが大切です。
その他の腎臓と生活習慣の関係については、「腎臓を守るために本当に必要な生活習慣とは」で解説しています。
参考文献
- National Kidney Foundation. 8 Key Things to Know Before Taking Supplements. 2016.
- Fang Y, et al. Nutrients. 2023.
- Sun P, et al. Front Nutr. 2022.
- Manninen AH. Sports Nutr Rev J. 2004.
- Ikizler TA, et al. Am J Kidney Dis. 2020.

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